日時 2007年10月22日(月)13:30ー15:00
場所 環境情報1号棟5階共同セミナー室
「土は、どのようにして細菌の宝庫となったのだろうか?」
服部 勉(東北大学名誉教授,アチック・ラボ)
要旨: 土にはいろいろな物質を化学的に変化させる多様な微生物がすんでい
る。なかでも細菌の種類は想像を越えるほど多い。土にどれだけの種類
の細菌がいるのか、正確に調べる必要があるが、この作業には深刻な困
難が存在している。講演の前半では、こうした困難の内容について説明
し、今日の土壌や微生物の科学的研究がもっている問題点について考え
る。 講演の後半では、多様な細菌がすむ土壌構造のサイトを調べ、土壌と細
菌との関係を探る。この探求であたらしく出会う鉱物微粒子(シリカ・
ナノ粒子)を中心に、土壌細菌多様化の秘密を探る。
The Quest for the Diversity of Soil Bacteria
Tsutomu Hattori (Emeritus Professor of Tohoku
University, Atic Lab.) In soil there live
extremely diverse bacteria. Much of the life
of soil bacteria still remains unknown. My
talk will address following two questions.
First, are we able to catalogue throughout
the soil bacteria ? Second, how does soil
maintain the lives of so diverse bacteria?
服部勉先生は世界的な土壌微生物学者で,代表的な研究業績として,
1)土壌微生物の微視的環境:細菌細胞の界面への吸着,2)土壌微生
物の微視的環境:土壌団粒モデル,3)土壌における低栄養性細菌群,
4)コロニー形成曲線による土壌細菌集団の解析法,といったものがあ
ります.遺伝子による土壌細菌群集の解析が盛んに行われるようになっ
てきましたが,細菌の活動や機能と結びつけて評価するためには,乗り
越えなくてはいけない問題がたくさんあります.遺伝子解析が可能にな
る以前から独創的なアイデアで土壌の細菌の生活を解明してこられた服
部先生に,多様性の把握と起源についてのお話をしていただきます.