国連大学高等研究所 (UNU-IAS)主催

食糧安全保障とバイオ燃料:

一つの惑星と二つの世界



2008年6月24日午後 4時 〜 5時30分

国連大学エリザベス・ローズ会議場

東京都渋谷区神宮前5丁目53-70

講演者:      アナンサ・クマール・ドゥライアパ氏

          国連環境計画(UNEP)環境政策執行部(DEPI)生態系サービス経済ユニットチーフ


  プログラム:           4:00 - 4:10 開会挨拶:A.H.ザクリ(国連大学高等研究所所長)

          4:10 - 5:00 講演:アナンサ・ドゥライアパ氏

          5:00 - 5:30 質疑応答及び討議



言語:        英語(同時通訳あり)

気候変動への関心と多くの先進国による京都議定書の調整により、非炭素由来燃料への需要が高まっています。同時に、石油価格の高騰により、多くの国が代替燃料を求めています。どちらの事例においても、バイオ燃料は、燃料の供給危機を脱するための潜在的な供給源として認識されつつあります。この二重の強力な効果は、開発途上国先進国におけるバイオ燃料生産の急激な増加の原因にもなりました。同時に、食糧価格がここ数年で顕著に高騰しており、貧困層がもっとも深刻な影響を受けています。当然のことながら、食糧価格の高騰は、バイオ燃料生産への移行が食糧供給を減少させたとして非難されてきました。食糧価格の上昇は多くの開発途上国において食糧への暴動の原因ともなっており、国連を含む多くの国際機関は需要に見合うだけの食糧増産を呼びかけています。しかしながら、われわれは食糧増産プログラム及びバイオ燃料増産プログラムを開始する以前に、バイオ燃料・食糧安全保障の関連に関する原理が明らかにされなければなりません。生態系サービスの更なる減少及び富裕層と貧困層との格差の悪化を引き起こすことなく食糧安全保障の課題に対応し、バイオ燃料プログラムをより効果的にするような簡単な道筋があるかもしれません。

アナンサ・クマール・ドゥライアパ

テキサス大学大学院修了(数学・コンピューター経済学博士)。ヨーロッパ大学研究所(ローマ)、シンガポール国立大学、自由大学(アムステルダム)、国際持続的発展研究所(IISD)経済政策局長を経て、現在は国連環境計画(UNEP)環境政策執行部(DEPI)生態系サービスユニットチーフを務めています。生態系サービスの経済評価及び「生態系サービスへの支払い」に関する研究の第一人者です。2003年のミレニアム生態系評価の人間の福利に関する章、「生態系サービスと人間の福利」の調整役代表執筆者(CLA)の一人です。ミレニアム生態系生物多様性総合評価に関する作業部会及び日本における里山・里海サブ・グローバル評価(SGA)の日本科学評価パネル(NSAP)の共同議長を務めています。また、生物多様性科学国際共同研究計画(DIVERSITAS)科学委員会のメンバーでもあります。