生態リスクCOE第12回公開講演会を下記の通り開催します。

◎開催日時: 9月22日(月) 15:00〜17:00

◎開催場所: 横浜国立大学 環境情報1号棟515室

◎主催:横浜国立大学GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」

◎座長: 嘉田良平(横浜国立大学環境情報研究院 教授)

◎演題:「里山のもつ非市場的価値の経済評価」

◎講師: 矢部光保(九州大学大学院農学研究院 准教授)

◎指名討論者: 佐土原聡(横浜国立大学環境情報研究院 教授)

〔講演要旨〕

 古来、里山は人間の営みとの深い関わりの中で、多様な生物や文化的景観を維持してきた。しかしながら、生活様式の近代化や農林業の生産方式の変化によって、人々が里山を利用し、そこから経済的利益を直接得る機会は少なくなってしまった。しかしながら、都市的開発の進展にともない、郷愁を誘う伝統的景観、希少となった生物の保全、身近な散策やリクレーションの場、自然を体験する環境教育の実践、安らぎと癒しの空間の提供など里山のもつ多面的機能は、昔にもまして重要となってきている。そして、これら多面的機能の価値は、必ずしも市場経済の中で形成されるわけではないので、非市場的価値と呼ばれている。

 本報告では、里山に関わる保全活動や政策決定に役立てるため、このような非市場的価値の経済的評価手法について紹介する。すなわち、人々の考え方を直接明らかにする表明選好法としての仮想評価法と選択実験、市場データを利用する顕示選好法としての旅行費用法とヘドニック法、類似機能の市場調達価格で環境価値を評価する代替法について取り上げ、それらの特徴や長所、限界や利用にあたっての注意すべき点について説明する。