第11回オープンカフェの案内を致します。

演題: 「採択された生態学会企画シンポジウムに関する情報提供」、「RAによる研究発表紹介」
日時: 2008年10月7日(火)12-13時
場所: 総合研究棟S棟2階201室ゼミ室 A&B

講演者1:柴田賢一さん(伊藤・雨宮 研究室)
発表タイトル:「殺藻細菌によるアオコの除去とその生態リスク」
キーワード:富栄養化、アオコ、Microcystis、殺藻細菌、病原性、健康リスク、微生物群集、生態リスク

講演者2:頭士泰之さん(益永・中井&松田 研究室)
発表タイトル:「アジア諸国におけるPFCsリスクマネジメントの展望と汚染源解析の役割」
キーワード:PFCsのリスク, 欧米とアジア, 汚染マネジメント, 汚染源解析, ミッシングシンク&ソース, ミスマネジメント

要旨1(柴田さん)
 経済発展や土地開発などによる湖沼の富栄養化を主因として、世界的にアオコが発生している。特に、アオコの発生湖沼はアジア・オセアニアが最も多く、貴重な淡水源の汚染は深刻である。
 本研究では、生物学的・生態学的手法による湖沼の修復・改善手法のうち、特に殺藻細菌によるアオコの除去に注目した。生物学的・生態学的手法は、日本が国際的にリーダーシップをとれる分野であり、低コスト・低エネルギーで実現可能で、発展途上国の多いアジアで我が国が大きく貢献できる分野である。
 しかし、殺藻細菌の病原性は確認されていないが、一部は人体または魚類の病原菌と近縁であり、人体または魚類への健康被害を招く可能性は否定できない。また、私の過去の研究により、場合によっては微生物群集にも多大な影響を与える事が分かった。これらを踏まえ、殺藻細菌利用の健康・生態リスクを実験的に評価する事を目的とした。
 アオコの代表種であるMicrocystisを用いた殺藻細菌の分離手法は未発達であり、現在は分離手法の研究を進めている。今後は、分離した細菌を用いて、健康・生態リスクの評価につなげていきたい。

要旨2(頭士さん)
 1999年になり発覚した新規汚染物質ペルフルオロアルキル化合物(PFCs)は,環境残留性, 生物毒性も有し, ヒト健康や生態系への悪影響が懸念されている。中でもPFCsの 1種であるPFOSは, 残留性有機汚染物質(POPs)の世界的な規制を目指すストックホルム条約に加えられる方向で進んでいる。 PFCsは欧米近隣のみならず, 日本を始めとする東アジア近海で も非常に高濃度で検出されている。このことからわが国において早急な調査・対策が求められており, さらにアジア諸国に対しても本問題解決への貢献が求められている。
 さて, この汚染問題解決においては排出基準値の設定, 環境放出の停止や除去措置といった何らかの対策が必要となる。これら対策を通して有効なリスク管理を行うためには, 寄与の高い汚染源の発見・特定が重 要になる。そこで本発表では, PFCsの適切なマネジメントに向けて, 高汚染のあった鶴見川流域を対象とした汚染源探索を行ったので, このトピックを紹介する。